全49校のブラバン応援を取材。2026夏の甲子園取材裏話・苦労話

智辯和歌山の優勝で幕を閉じた夏の甲子園。アルプススタンドで全出場校のブラバン応援取材をした吹奏楽部出身記者の、取材後記。
梅津有希子 2026.08.30
誰でも
智辯和歌山名物の人文字。熱中症対策で人数を減らし、小さくなった。photograph by Yukiko Umetsu

智辯和歌山名物の人文字。熱中症対策で人数を減らし、小さくなった。photograph by Yukiko Umetsu

甲子園のブラバン応援取材を始めて13年になるが、実は、今年の夏は直前まで行くかどうか迷っていた。理由は、取材費と酷暑の問題。熱中症対策で、試合が午前と夕方の2部制になり、間が3時間ほど空く。その時間をどこでどう過ごすか、そして尋常じゃない暑さのなか、1日4試合をアルプススタンドで耐えられるのか。昔とは暑さが違うため、体力の消耗も大きく、試合終了後や早朝に起きて原稿が書けるのか。などなど心配事は尽きなかったが、やっぱり、行ってみないとわからないのがアルプス応援。今回は初出場校や数十年ぶりに出場、という学校も多く、「やっぱり生で見たい」という思いが迷う気持ちを超え、甲子園入りを決意。以下の記事を執筆した。

毎年頭を悩ませる宿問題

念のため数カ月前からホテルはおさえてはいたけれど、毎年のことながら台風やゲリラ豪雨による試合順延の可能性があるため、長めに宿をおさえておく必要がある。何年か前、台風が続いて順延が数日続き、延泊しようとしたもののお盆の混み合う時期ですでに満室。不本意ながら、ほかの宿に泊まることに。

ほんとうは、甲子園徒歩圏内の宿に泊まりたいのだけれど、開幕数カ月前に片っ端から宿に問い合わせてはみたものの、全滅。なぜかというと……

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ぜんぶ新聞社やテレビ局などにまとめておさえられているから。そりゃ毎年大口のお得意さんがいるのだから、自分のようなフリーランスが1人分の宿泊を確保するのはまったく無理だった。このため、電車で数駅離れたビジネスホテルを常宿にしている。

ホテルでは、なるべく自宅のようにストレスなく過ごしたいので、約10日分の洋服や生活用品を出しっぱなし。リモワの大きなスーツケースに、大量の着替えや雨の日用の撥水スニーカー、紫外線でダメージを受けた肌をケアするパックやら、顔やからだなど部位ごとの日焼け止め、大風量のドライヤーなど、こまごましたものをすべて詰め直してホテルを移るのは大変な作業だった。

また、最近の宿はダイナミックプライシング制なので、週末やお盆時期などは、当然価格が跳ね上がる。一度、「ウィークリーマンションのほうが使い勝手が良いかも」と思い、梅田駅近くで借りたこともあったけれど、保証人やら書類やら、まあ手続きが大変だった。

ホテルに1台しかないコインランドリーは毎日争奪戦のため、ウィークリーマンションは毎日自由に洗濯が出来て、ベランダに思いっきり干せるのはとても快適だったのだけれど、あの手続きの大変さを考えると、やはりホテルのほうが気楽という結論に達したのだ。

例年以上に念を入れた熱中症対策

毎日のように37、8℃の厳しすぎる暑さが続き、さらにアルプススタンドは直射日光が直撃。日陰の記者席に行くことも出来るのだけど、記者席からアルプスはちょっと離れているため、「今演奏している曲はなんだろう?」と思った時に、すぐに駆けつけることが出来ない。走っても間に合わない。遅れて駆けつけて質問しようにも、「さっきやっていた曲はなんですか?」「どの曲ですか?」「こんなのです(と鼻歌で歌う)」と説明しても、音や歓声にかき消されて全然聞き取ってもらえないため、取材にとても手間取ってしまう。このため、暑いけどずっとアルプスにいるほうが、効率よく取材ができるのだ。

ただ、撮影も取材もすべて1人でやっているため、アルプスで倒れて周りや編集部に迷惑をかけないよう、細心の注意を払っている。昨年までは1日4試合、500mlのスポーツドリンクを3本は飲んでいたが、今さらながら1本に角砂糖10個分の糖分が含まれていることを知る。というわけで、<麦茶+塩タブレット>に切り替えたところ、これでまったく問題なかった。スポーツドリンクのほうが速やかに水分補給ができそうだし、何となくよさそうな気がすると思い込んでいたのだけれど、糖分を考えると麦茶のほうが安心してがぶ飲みできて正解だった。

直射日光直撃でスマホがヤバい

1日4試合、Xで「#ブラバン甲子園」というハッシュタグをつけて応援曲の曲名や吹奏楽部に関する小ネタなどをツイートするのが長年のルーティーンなのだけれど、この13年で二度、甲子園でiPhoneを壊している。酷暑の中、直射日光が直撃する環境でずっとスマホを出しっぱなしにしているので、高温で本体が熱くなり、突然画面が真っ黒に。即機種変更をしに行った過去がある。

3年前から使っている現機種も、今年あたりヤバそうな予感……。事前に「スマホの冷えピタ」的な冷却アイテムを貼り付けてはいたものの、あの強烈な日差しの下ではまったく歯が立たなかった。スマホに触っていなくても熱くなってきたため、ツイートするのは夕方以降の試合に限定。昼間は極力触らないよう気を付け、何とか壊れずに済んだ。

取材しながらネタ出しをする毎日

拓大紅陵アルプス。5回でトランペットが「勝利のテーマ」を演奏。photograph by Yukiko Umetsu

拓大紅陵アルプス。5回でトランペットが「勝利のテーマ」を演奏。photograph by Yukiko Umetsu

ブラバン応援記事は、現地に行ってみないことにはどんな記事が書けるかわからない。基本的に自分でネタを出し、編集者の意見を交えて企画を考える。アルプススタンドで取材しながら、編集者に「こんな記事が書けそうです」とLINEで仮タイトルを送り、「いいですね。明日の朝配信でいきましょう」「休養日に出します」などと締切が決定。午前と夕方の部の合間にホテルで原稿をまとめ、写真を整理する……という日々の繰り返し。

日頃から食べるものに気を付けていることもあり、「野菜とらなきゃ」「たんぱく質が足りてない」「冷たいものばかりだと身体が冷えるので、温かいものも食べないと」「熱中症対策で塩分もとらねば」と、朝からみそ汁を飲んだり「梅干しのおにぎりも食べておくか」などなど、食べ物と原稿のことで常に頭がいっぱい。

毎年スマホの充電問題にも悩まされてきたが、あの高温下でモバイルバッテリーがいつ爆発してもおかしくないと思うと、なるべく使いたくない。近年は、甲子園界隈の飲食店もコンセントが充実してきたので、試合の合間に充電しやすくなったのは助かった。

やっぱり今年も、行ってよかった。

演奏しない守備時は、顧問の先生と「コンクールどうでした?」「自由曲は何ですか?」「部活の地域移行、うまくいっていますか?」といった話をしている。

コンクールは支部大会も佳境を迎え、1カ月後には全国大会。

吹奏楽部の夏は、まだ終わらない。

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