吹奏楽コンクール、“ダメ金”の圧倒的な悔しさとは

7月から始まった全日本吹奏楽コンクールも、いよいよ全国大会を残すのみとなった。今年の出場校や、自由曲にまつわることなどを、つらつらと。
梅津有希子 2026.09.17
誰でも
筆者が生成AIで作成したイラスト(転載禁止)

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吹奏楽コンクールもいよいよ終盤。残すは11月1日(日)、アクトシティ浜松で行われる全国大会のみとなった。

出演順も発表になり、高校の部は以下の通り(全日本吹奏楽連盟公式サイトより転載)。

※左から、ブロック 出演順 賞 支部 都道府県 団体名 演奏予定時刻

<高等学校前半の部>

第1 1東京都 都高等学校 東海大学菅生高等学校 9:00

第1 2九州 熊本県 玉名女子高等学校 9:15
第1 3東海 愛知県 聖カタリナ学園光ヶ丘女子高等学校 9:30
第1 4北陸 福井県 福井工業大学附属福井高等学校 9:45
第1 5東関東 千葉県 習志野市立習志野高等学校 10:00
第1 6中国 島根県 出雲北陵高等学校 10:15
第1 7関西 京都府 京都両洋高等学校 10:30
第1 8東関東 千葉県 柏市立柏高等学校 10:45
        入れ替え
第2 9東北 福島県 福島県立磐城高等学校 11:35
第2 10関西 大阪府 近畿大学附属高等学校 11:50
第2 11西関東 埼玉県 埼玉栄高等学校 12:05
第2 12東海 愛知県 安城学園高等学校 12:20
第2 13四国 香川県 香川県立坂出高等学校 12:35
第2 14北海道 北海道 東海大学付属札幌高等学校 12:50
第2 15九州 福岡県 精華女子高等学校 13:05

<高等学校後半の部>
第1 1北海道 北海道 旭川明成高等学校 14:40
第1 2西関東 埼玉県 埼玉県立伊奈学園総合高等学校 14:55
第1 3西関東 埼玉県 春日部共栄高等学校 15:10
第1 4北陸 富山県 富山県立富山商業高等学校 15:25
第1 5九州 鹿児島県 鹿児島県立松陽高等学校 15:40
第1 6九州 長崎県 活水高等学校・中学校 15:55
第1 7東海 愛知県 愛知工業大学名電高等学校 16:10
第1 8東北 秋田県 ノースアジア大学明桜高等学校 16:25
        入れ替え
第2 9東京 都高等学校 八王子学園八王子高等学校 17:15
第2 10関西 大阪府 大阪桐蔭高等学校 17:30
第2 11四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校 17:45
第2 12中国 岡山県 岡山学芸館高等学校 18:00
第2 13東北 宮城県 聖ウルスラ学院英智高等学校 18:15
第2 14東関東 千葉県 千葉県立幕張総合高等学校 18:30
第2 15中国 岡山県 明誠学院高等学校 18:45

懐かしの自由曲がリバイバル人気

近年、「コンクールも変わってきたな」と思うことが多い。代表校の顔ぶれもだが、自由曲のラインナップを眺めていても、そのように感じる。
「オセロ」や「アルメニアン・ダンス(パート1、2)」「エル・カミーノ・レアル」など、昭和・平成にかけて圧倒的な人気を博したA・リードが再評価されたり、「ダフニスとクロエ」や「楽劇『サロメ』より7つのヴェールの踊り」「シバの女王ベルキス」を演奏する学校も多く、リバイバル人気となっている。

伊奈学園総合は、1999年以来二度目となるバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」を、大阪桐蔭がミュージカル作品「ライオン・キング」、埼玉栄が「オペラ座の怪人」を選ぶなど、選曲のバリエーションが広がっているように感じる。

たまたま今回このような曲が重なっただけかもしれないけれど、30年前に全国大会に出ていた自分としては、ラインナップの幅広さに時代の変化を感じている。

大阪桐蔭は以前から定期演奏会などでもミュージカルに力を入れているので、「この曲で勝負するとは、さすが梅田先生」と率直に思ったが、埼玉栄はちょっと意外。でも、配信でリアルタイム視聴していた西関東大会での演奏はすごかった。さすが栄、である。

野球応援曲と自由曲、ブームの共通点とは

甲子園で野球応援の取材中、演奏しない守備時は吹奏楽部の先生とコンクールの話をすることも多く、関西大会に出場したとある吹奏楽部顧問に「今年は特に、懐かしの自由曲が復活していますね」と話しかけたところ、このような回答が……。

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「皆さんいろんな曲を試してなかなかうまくいかず、昔の名曲に戻った、ということもあるんちゃいますかね」

「なるほど、それはあるかもしれないなあ……」

と、アルプススタンドで思わず膝を打った。

数年前まで、「もう、リードじゃ勝てない」という吹奏楽部顧問の声を多く聞いていたが、「そんなことはないのでは? リードで圧倒的な演奏をすれば評価されるのではないだろうか」と思っていた(言わなかったけど)。

名門・岡山学芸館が5年連続でリードの曲を選んでいる影響は、間違いなく大きいだろう。

昔は今ほど情報もなく、YouTubeで無数に演奏動画を見られる時代ではなかった。全国大会で金賞を受賞した学校の自由曲が翌年一斉に全国各地に広まる、というケースが多かったと記憶している。そしてこの広まり方は、野球応援曲の流行にもいえることで、強い学校、優勝した学校のチャンステーマが翌年バーッと一気に広まる。現在人気の応援曲が、ドヴォルザークの「交響曲第9番<新世界より>」と「オー・シャンゼリゼ」。強豪校が次々に応援に取り入れたことからこの2、3年で急激に増え、甲子園で聴かない日はない人気曲に躍り出た。

代表校が変わるのは“波乱”なのか?

全国大会に出場する顔ぶれは、「毎年おなじみの皆さん」という感じで、長いことあまり変わらなかったが、近年ちょこちょこと変わってきた。顧問の代替わりもあるが、支部大会上位校に、圧倒的な差がなくなってきたのだろう。筆者が札幌白石高校時代に全国大会に出場していた頃から30年以上出続けている先生は、東海大札幌の井田重芳先生、京都両洋の藤重佳久先生の2名となった。藤重先生にいたっては、精華女子→活水を経ての現在で、3校にわたって全国大会に出場している先生は、これまでにいなかったのではないだろうか。異動のある公立中学では珍しくないが、高校ではなかなかないケースと思われる。

高校時代、ともに全国に出た学校でいうと、東海大札幌、習志野、市立柏、埼玉栄、伊予、愛工大名電、精華女子などがあるが、現在も変わらず出続けているのは、前出の通り東海大札幌の井田先生と、元精華女子(現・両洋)の藤重先生のみで、ほかは当時と違う先生が指揮を振っている。

先人の方々の努力により、吹奏楽クリニックや講習会が日本中に普及。あらゆるジャンルにいえることだが、令和の今は動画やSNSでいくらでも情報が得られるようになった。他校との交流もしやすくなり、いわゆる強豪校の練習方法ややり方を多くの学校が取り入れるようになった。私学と公立の部活動にまつわる練習時間や環境の差など、悩ましく難しい問題もあるとはいえ、学校吹奏楽が全国的に底上げされたのは紛れもない事実だろう。実際、全国大会の演奏を聴いていると、どこの学校もほんとうに上手だ。昔はもっとあきらかな差があったので、ずいぶん変わったなと感じている。

支部大会、いわゆる「ダメ金」で涙を飲んだ生徒たちも多いことだろう。

上位大会に進めない金賞=ダメ金

当たり前のように吹奏楽界で広まっている言葉だけれど、いったい、いつ誰が考えた言葉なんだろう。80年代には、みんな普通に言っていた。それにしても、嫌な言葉だ……。

筆者は札幌の中学時代、中1で全国大会、中2でダメ金という経験があり、人生で一番泣いたのは間違いなく13歳のあの日だ。今でもはっきりと覚えているが、今はなき北海道厚生年金会館の前で、息ができないくらい泣いた。今思えば、あれはいわゆる「過呼吸」だったのだろう。仲間に支えられ、なんとか地下鉄西11丁目の駅まで辿り着いたことを、昨日のことのように覚えている。それくらい、圧倒的に悔しい体験だった。

全国大会まであと2週間あまり。今や超プラチナチケットとなってしまい、まったく当たる気がしない。が、全ブロック申し込む。

往復ハガキ(!)で申し込めば普通に買えた、普門館時代が懐かしい……。

すべての出場団体の皆さんが、悔いのない最高の演奏ができますように……!

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